訳した痕跡を残さない翻訳

観光パンフレットや
デバイスの説明書など
翻訳された文章を読んでいて

「あ、これ翻訳だな」

と感じた経験はありませんか?

言葉がどこかぎこちない。
文の流れが不自然。
なんとなく読みにくい。

そういう文章に出会ったとき
内容よりも先に
「翻訳感」が目に入ってしまう。

私たちが翻訳で
一番大切にしていること

それは
訳した痕跡を残さないこと
です。

翻訳者の存在を消す、ということ

パンフレット、WEBサイト、案内文

旅行者が何気なく読む文章を
日々扱っています。

理想の訳文とは
読んだ人が「翻訳だ」と
気づかないものだと思っています。

内容がすっと頭に入ってきて
言葉の存在を意識せず
気づいたら「ここ行ってみたい」と思っている

——そういう文章です。

そのために必要なのが
「自然であること」

原文に忠実でありながら
訳した言葉が目的の言語として
自然に息をしていること。

このふたつのバランスを取ることが
この仕事の核心だと感じています。

「自然」は、簡単ではない

「自然な訳文にする」
と言葉で言うのは簡単ですが

実際にやってみるとわかります。

読み手への伝わり方もまったく違う。

ひとつの単語の訳し方を
数日間考え続けることも
珍しくありません。

この言葉で本当にいいのか、
もっと自然な表現があるんじゃないか
読んだ人にちゃんと届くだろうか

——そうやって悩んで、悩んで
選んで、選び抜いた言葉が
誰かの旅の入口になるかもしれない✨


翻訳者の仕事は
完成したら見えなくなります。

読んだ人の心に言葉が届いたとき
そこに翻訳者の名前はありません。

でもそれでいい。

「訳した痕跡を残さない」ということは
そういうことだと思っています。



文芸翻訳(書物や映像)と違い
産業翻訳の仕事は
なかなか表に出てきません。

成果物だけが世の中に届いて
その裏にある試行錯誤は見えない。

観光分野専門の翻訳者として
日々感じていること
悩んでいること
こだわっていることを

ひとりごとのように
書いていこうと思っています。

翻訳ってこんな仕事なんだと
ひとりでも多くの方に
知ってもらえたら嬉しいです。