観光パンフレットの翻訳、実はこんなに奥が深い

観光パンフレットの翻訳
なんとなく簡単そうに聞こえませんか?

難しい専門用語もないし
内容も楽しそう♪

でも実際に仕事として
向き合ってみると

これがなかなか
一筋縄ではいかないんです。

今日はその奥深さを
少しだけ紹介してみますね。

文字数との戦い

パンフレットには
レイアウトがあります。

写真があって、見出しがあって
本文が入るスペースが決まっている。

つまり、訳文が入る文字数にも
限りがあるんです。

ここで厄介なのが
日本語と英語の情報密度の違いです。

日本語は漢字のおかげで
少ない文字数でも多くの情報を詰め込めます。

でも英語に訳すと、どうしても長くなりがち(^^;

《日本語原文》例
伝統的な町並みが残る風情ある城下町。

《英語訳文》 例
A charming castle town with well-preserved traditional streetscapes.

意味はほぼ同じでも
英語の方が長くなりますよね。

レイアウトに収めながら
意味をきちんと届ける

——この制約の中で訳すのが
パンフレット翻訳の醍醐味のひとつです。

単位や表記もローカライズする

「ローカリゼーション」という言葉
聞いたことはありますか?

単に言葉を訳すだけでなく
読む人の文化や習慣に合わせて
内容を調整することです。

観光パンフレットでは
これが細かいところに影響してきます。

▶単位の変換
日本語で 駅から約2km
と書いてあっても

英語圏向けのパンフレットなら
about 1.2 miles と変換します。

読んだ人がすぐに
イメージできるように

英語の場合で指定がない限りは
距離はマイル、温度は華氏(℉)に直すのが基本です。

▶日付の表記順
日付の順番も
実は国によって違います。

日本語と韓国語は「年月日」の順ですが

英語(アメリカ)は「月日年」
「2025年3月15日」が
March 15, 2025 になるわけです。

読む人が一番分かりやすく調整します。

▶言葉(形容詞)の選択
観光パンフレットの目的は
読んだ人に「行ってみたい」と思わせること。

だから翻訳者は
原文に忠実でありながら

その国の人の心に
自然に響く言葉を選ぶ必要があります。

たとえば「静かな環境です」
を英語にするとき

直訳の quiet environment よりも
peaceful retreat の方が
英語圏の人にはずっと魅力的に響くそうです。

内容は変えていない
でも言葉の選び方で
ぐっと伝わり方が変わる。

原文の意図をきちんと守りながら
読む人の文化に合った言葉に乗せ換える。

それがローカリゼーションの本質だと思っています。

短い文章の裏に、たくさんの判断がある

観光パンフレットの一文は
短いものなら10文字にも
満たないこともあります。

でもその短い一文の裏には
文字数の制約、単位の変換、日付の表記、

そして読む人の文化への配慮
——たくさんの判断が積み重なっています。

「訳した痕跡を残さない」ためには
こういった細かいところまで
気を配ることが大切です。

地味に見えて、実は奥が深い
——それが観光パンフレットの翻訳です。